2008年07月15日

特定条件下での匿名

存在しない駅で「殺しまくる」 予告の男逮捕 「犯罪ではないと…」

 インターネット掲示板「2ちゃんねる」に「埼京線の上野駅で人を殺しまくります」と書き込んで警察官に警戒を強化させたとして、警視庁上野署は14日、偽計業務妨害の疑いで、板橋区成増の無職、崎山裕介容疑者(32)を逮捕した。上野駅に埼京線は乗り入れておらず、「存在しないから犯罪にはならないと思った」などと供述している。

 調べでは、崎山容疑者は6月28日午後7時半ごろ、掲示板に殺害予告を書き込み、2日間で延べ50人の署員を警備に当たらせるなどして業務を妨害した疑い。自宅のパソコンから書き込んでおり、すぐに浮上したという。
7月14日16時52分配信 産経新聞

最近、掲示板での犯行予告で逮捕される人が続出しているようだ。
某秋葉原事件に触発された愉快犯によるもののようだが。

今回のこの事件の場合は、存在しない駅を指定して「ねぇよ、そんな駅!」と
笑ってもらうつもりだったのだろうが、
最近は以前よりも警察が過敏になっており、
「頃す(ころす」などの当て字でも逮捕された例があるようだ。

このままだと、道行く人を無差別に役人(やくにん)に任命する
「無差別役人(やくにん)!」とかでも逮捕されそうで怖い。(w

そもそも、匿名掲示板と呼ばれるもので何故身元が割れてしまうのか。
「IPが漏れると住所が分かってしまう」というのは果たして本当なのか。

誤解している人が多いようなので、とりあえず書いておこうと思う。

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IPアドレスはなぜ漏れてしまうのか

フツーの人は、誰々のブログを「見に行く」というので、
「どこかのサーバに置いてあるブログを見に行っている」という
印象を持っているかも知れないが、
実際はサーバに見に行っているのではなく、
サーバに要求してデータをあなたの端末(以下PCと仮定してPCという)に
届けてもらっている

あなたのPCに「届けてもらう」ためには、あなたのPCの住所が必要だ。
しかしその際に必要なものは、あなたの本当の住所ではなく、インターネット上の住所。
インターネット・プロトコル・アドレス(IPアドレス)を、相手に教えることになる。

なので、あなたが何かのサーバにアクセスする際には、
あなたのIPアドレスはあなたが情報を要求するサーバには
必ず知られることになるというわけだ。

漏れているのではなく、あなたは自分のIPアドレスを相手に教えているのだ。

上の理由からサーバがすでにIPアドレスを知っているので、
WebプログラムなどでIPアドレスを取得することは極めて簡単だ。

掲示板などで何かを書き込む際にはプログラムに依頼してログを保存するため、
この書き込みをした人のIPアドレスは何か、を知ることはとても簡単で
書き込んだ人のIPアドレスを保存しておくことなど容易い。

Webプログラムは、その設計者がうっかりさんだったという
奇特なシチュエーションを除き、ほとんどの場合は
ユーザーからのアクションと一緒にIPアドレスを記憶する形になっている。


IPアドレスを知られると住所や電話番号まで分かってしまうのか

IPアドレスは逆引きすることによってリモートホストを取得することが出来る。
このリモートホストとは、数値が列挙されている認識しづらいIPアドレスというものに、
分かりやすく文字列で名前(name)を付けたもので、
その文字列からインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)を類推することが出来る。
(name解決出来ないIPアドレスもある)

ISPによっては、アクセスポイントとなる地域名をその文字列に含めていることがあり、
それにより、住んでいる地域を類推することが可能な場合もある。

が、

それ以上のことを、IPアドレスから知ることは出来ない。
あなたが住んでいる地域までは分かっても、
あなたが誰であるのか、また、あなたの電話番号が何かまでを
知ることは出来ないのだ。

たとえ友達がスーパーハカーでも。


IPアドレスが分かることで逮捕されてしまうのはなぜか

あなたが誰であるのか、また、あなたの電話番号が何かを
IPアドレスから知ることが出来ないのに、なぜ逮捕されてしまうのだろうか。

実は、あなたが誰であるのかをISPはIPアドレスから知ることが出来る。

ISPはあなたにいつどんなIPアドレスを割り振ったのかを知っており、
通信料を請求するための名前や住所や電話番号を知っているからだ。

しかしそのあなたの個人情報は
「その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密」として、
刑法 第百三十四条で保護されており、外部に漏らすことは許されない。

ISPはあなたが誰かは知っているが、それを誰にも教えてはならないのだ。
これは、たとえ相手が警察官であっても個人情報を開示することは許されていない。

ここでまた「友達のスーパーハカー」の出番だが、
スーパーハカーが外部から侵入出来るような場所に個人情報は保管されていない。
正当な理由なくプロバイダから個人情報を入手しようと思った場合は、
プロバイダの設備に物理的に侵入して、個人情報にアクセス出来るラインから
データベースにアクセスするか、書類を盗み出す以外に方法がない。

外部からアクセスすることは出来ない。

個人情報を盗み出す人達が、ハッキングによって入手するのではなく、
会社内部の人間がCDに焼いて持ち出すのはそれが理由だ。

スーパーハカーには個人情報を盗むことは出来ない。
故に、IPアドレスだけではあなたが誰かを知ることは出来ない、というわけだ。

しかし、

あなたが法を犯して誰かの権利を侵害した、もしくは侵害するおそれがある場合には、
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律
別名「プロバイダ責任法」により、ISPに個人情報を開示する請求がなされ、
この法に従い個人情報を開示した場合ISPは秘密漏示の責めを負わない。

あなたが法を遵守している間は、あなたの個人情報は法により守られているが、
あなたが法を犯せば個人情報は開示されてしまう、ということ。

つまり、悪いことをしたから個人情報が開示されてしまうのであって、
IPアドレスがバレたから個人情報が漏れるのではない。

悪いことをしたから逮捕されるのであって、
IPアドレスが漏れたから逮捕されるわけではない。(w
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インターネットでの匿名性は「法を遵守する」という条件下でのみ守られるもので、
法を犯す人には当てはまらないものなのだ。

逮捕された人が漏れ串使ってた、とかいうヘマをやらかしたので捕まったわけではない。
(プロクシサーバもIPを記録しているのでログを追うことは可能だ)

これだけ逮捕者が出ているのだからそろそろ、
犯行予告をしたら逮捕されることくらい理解した方がよいのではないだろうか。
バカの犯行予告してみるテストで警察動かして税金を無駄遣いしないで欲しいものだ。
この記事へのコメント
パソコンのこと殆ど知らないので

情報は取りに行くのではなく
届けてもらう
故にIPアドレスが知られる

まったく知りませんでした勉強になりました
Posted by たまたま at 2008年07月16日 08:21
警察が頑張っているのは分かるが、
「小女子(こおなご)を焼き殺す」での逮捕は
ちょっとやりすぎかな〜と思った(笑
これ「鬼ごろし、飲むっ!」とかでも逮捕?
場所が実在してても威力業務妨害にはならないと
思うけど、最近の警察はやりかねないなぁ〜。

某人の名言に「嘘を嘘と見抜けない人は(ry」
とあるけど、警察がギャグを理解できない事、
漢字や言葉の意味を知らない事、何でも隠語だと
思っちゃう事も見抜けないと
「インターネット(笑)」は使えないのかもしれないねぇ。
Posted by あしゅれー at 2008年07月17日 17:50
> たまたまさん

IPは絶対に知られなければならないものだって、
知らない人意外に多いんですよね。
でもこれ知っておくと、ワンクリック詐欺の人が
「会社に連絡する」が不可能だって分かりますよね。

> あしゅれーさん

え?小女子で逮捕しちゃったの?
じゃ、「子持ちシシャモ」も「子供のいる女性」って判断されて
逮捕されちゃう可能性もある?

ちなみに「小女子」は成長すると「女郎人(めろうど)」になるので、
こっちもヤバいですな。。 ( ̄(エ) ̄;)
Posted by あおい at 2008年07月17日 22:21
「投す」でも逮捕者が出たらしいですね(^^;

昨日、群馬でもゲーセン及び客を脅迫したとして捕まったのがいたらしいです。
26歳。やはりフツーに自宅からの書き込みだったらしくすぐに割り出されたとか。
まだまだ捕まるということが理解できてない方が多いみたいです。
Posted by 茶打 at 2008年07月20日 21:04
> 茶打さん

「投す」でも逮捕されちゃったんですか?! Σ( ̄(エ) ̄;) !!

小女子の件もそうですけど、
警察官に知識が無かったり読み間違えたりすると
逮捕される国になっちゃったんですか?日本は。

そのうち女子高生の
「親とかチョーウザいし〜。マジ死んでくれって感じ〜」も
「親が死ねばいいと思っていた」とかいう話になるんですかね。

私がよく話を濁す時に言う「アレがソレ」も、
勝手に解釈されて訴えられたりしないか心配になってきました。(w
Posted by あおい at 2008年07月23日 16:05
なんでだろうとずっと疑問だったのですがよくわかりました

確かに法を犯すことをすれば、個人情報が開示されても仕方ない
でも、上記のコメントにもあるように、明らかな犯行予告でないものまで対象になる→個人情報が開示されるって怖いことではないかなと思いました

こんな時だし、紛らわしいイタズラカキコをするバカも捕まって同然ではあるけど、
法律を乱用してるような気がしないでもないと感じました

個人情報って簡単に警察に開示しすぎてないかなと思いました

個人情報は守られていないんじゃないかと感じます


考え過ぎかもしれないですが、戦争の時代が再度やってきたときに、個人情報がどんどん開示されるんじゃないかと思います…


とにかく勉強になりました
ありがとうございます
Posted by 勉強になりました at 2008年07月27日 11:17
> 勉強になりました さん

> 個人情報って簡単に警察に開示しすぎてないかなと思いました

私はそうは思いません。
なぜなら、個人情報を開示された警察も守秘義務を負うのであり、
法に束縛されない一般人に公開したわけではないからです。

犯罪予告があり、それを未然に防げなかった場合にはどうせ、
警察の初動捜査体制のあり方を責めるのでしょう?
なら、守秘義務を負うことになる警察官に個人情報を開示するくらい、
いちいち騒ぐほどのことでもないと思いますけどね。
何より、犯罪を未然に防げるのは良いことです。

ただ、簡単に逮捕してしまう警察の体制には意義はあります。

> 法律を乱用してるような気がしないでもないと感じました

「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」には、他人の権利を侵害するおそれがある場合、まで考慮に入れているので、法律の乱用だとは思いません。
この行為が「乱用」にならないために、この項目を入れたのでしょうから。

「ソコが問題だ」と言われれば、同意ですね。
Posted by あおい at 2008年07月28日 21:07
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